肝臓のMRI診断では、新しい造影剤、プリモビストが
登場し、注目されています。
これを使ってダイナミックMRI(EOB-MRI)をとれば
早期相では、血流の有無がわかり、20分後の肝細胞相では
正常肝細胞機能のない部分(ガン等)には、取り込まれないので
黒く抜けると言うものです。
問題は、この肝細胞相で黒くなると、ガンと思ってしまう
放射線科医が多いということです。
Uさんは、60歳代の女性ですが、高血圧などで、
私の医院にかかっていました。
2009年8月、年に1度の検査にて
エコーで膵管拡張を見つけ、膵癌を疑い検査を進め、外科で
切除してもらいました。幸い15mmの膵がんで、リンパ節転移もなく
ステイジⅡでした。

昨年11月、発熱とともに、肝内に多発早期濃染結節が
出現、転移も疑いましたが、腫瘍マーカーも動いていませんので
膵頭部切除後ですし、胆管炎、多発肝膿瘍の可能性を考え
抗生剤で治療しますと、翌月の12月のCTでは、影が薄くなり
今年8月のCTでは、影が無くなっていました。



10月に入り、本人が顔色悪く、
「手術を受けた病院の定期検査で肝内転移で、来週から抗癌剤治療」
と言われたといいます。
そんなはずはない、きっと前回の状態と同じだと思い
CTを撮りますと、前回とおなじような影がみられ、
CRPは5.4でしたので、抗生剤を投与し、経過のわかる
CTとお手紙を持って行ってもらいました。

外科医は、私の読影能力を知っていますので、分かって
くれましたが、放射線科は、EOB-MRIの肝細胞相で
抜けるので、やはりガンだと言っていますとのことでした。
抗癌剤治療は延期してもらい、抗生剤の効果を見る
ことにしましたが、怖い時代だと思いました。
プリモビストは、正常肝細胞にとりこまれますので
肝細胞相で抜けるのは、あくまでも正常でない
肝細胞で、すべてがガンではありません。
きちんと経過をみたり、きちんとした病理診断を
重ねて、はじめてきちんとした画像診断ができるのです。
ちなみに、私は、北九州で初めての全身型CT
全身型MRIをみてきて、手術標本、解剖標本を
死に物狂いで調べて、どの組織がどのように見えるのか
調べて来ました。リピオドールCTは私のアイデアで
Radiologyの論文になりましたし、肝臓学会のMRI
の最初のシンポジストの一人です。
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